「 すごい太い針だった。
ヘモグロビンが多いって
言われた。 」
帰宅して一番下の双子達に
妖怪ウォッチのゲームを見せられて
いると、キッチンで長女が興奮して
妻に話している会話が耳に入ってきました。
どうやら、献血に行って来たらしいのです。
妻も献血には定期的に行っている。
献血した日は一日具合が悪くなるのに。
長女が献血をして来たと聞いて、
妻が「 そろそろ私も献血行こう!」
妻が献血をして来た日は
しんどそうにしているので、
「 無理にすることないだろうっ! 」と
言ったのだが。
妻からの返答に
返す言葉は当然ありませんでした。
妻が言うには、
「 献血をするようになったのは、
アナタが献血で命を繋げていただけたから。
何不自由のない暮らしの中で、
献血をしに足を運んで、
献血をしてくれていた人がいてくれたから
アナタが生きられているんだから。
アナタ輸血をたくさんして貰ったから
献血出来ないでしょっ。
だから、私たちが少しでもの恩返しと
思って行っているんだよ。
デリカシーに欠けたこと言わないでよ。 」
ハイ。申し訳ありませんでした。
そう、私は仕事中にスタッフが落として
しまったガラスサッシを割るまいと
腕で受けてしまい、
左腕を切断しかけたのでした。
その際に、動脈を3本断裂し、
筋肉も神経も大半を断裂してしまい。
驚くほどの出血に、(4リットル以上を出血。)
死をも覚悟しました。
(通常なら失血死もと。)
が、顕微鏡による血管縫合術を
10時間もかけて実施いただいた医師と
献血をしていただいていた人々の血液を
輸血いただき、
そのお蔭で今を生きております。
血が吹き出し、
骨が見えて、
そうめんの束のような、
白いものなどなど。
そうめんは後に切れた筋肉で
あることを知りました。
そんな事故からもう、
10年が過ぎようとしております。
思えば、意識が朦朧としておりましたが、
手術室へ運ばれる際に、
妻や幼かった娘が号泣していたのを
今でも思い出します。
そうだったかぁ。
ありがとう。
皆に助けていただいた私の左腕は
左利きの私を今も支えてくれています。
ゆはかのこ 森のしずく代表